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HIRONOBU
NISHIDA

西田 裕信

ユニミュと出会い
ユニミュの原点を作る

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---ユニミュとの出会いを教えてください!

東京英語劇連盟(以下MP)でユニミュを立ち上げた知恵と知り合いました。

一緒にキャストをやったり、その後彼女が舞台監督をやっていた年に演出助手をやったりして一緒に劇を作ってきたのですが、2018年の年末にユニミュの最初の公演に関わらないかと誘われて。

もう有無を言わさずに参加が決定していたようなものなのですが(笑)
つながりを大切にしたいと思い、関わり始めました。
本番数日前の練習で、本当にこのまま成功するのだろうか?満足するものになるのだろうか?と焦燥感に駆られている時、もう一度歌う曲の歌詞に向き合おうとしっかり時間を取った日があって。

その日を境に、チームがまるで魔法にかかったかのようにぐっと伸びて。
集まった人たちの個性や、バックグラウンドの知識、一曲一曲にかける想いが交わったその話し合いが、ユニミュのスタートであり、原点だと思っています。

ひとつひとつのセリフや曲の歌詞に描かれた背景を紐解く姿勢は、変わらずに持ち続けたいですね。


---歌のメッセージを考え抜いたことで,いい舞台が作れたんですね

間違いなくそうです。
あと、いい舞台が作れたのはいろんな人に関わってもらったからです。

ユニミュを作った知恵と、もうひとり上田さんというユニミュの応援団長が、ミュージカルという閉じてしまいがちな世界を、外の世界と繋いでくれたんです。

​そのつながりがあったからこそ、ミュージカルや歌うことに対する敷居を下げ、それを多くの人に届けられたのだと思います。ユニミュの舞台はオープンにしていて、その場にいる観客の方が一緒に舞台を作るのを目的としています

 

 

---今回「イン・ザ・ハイツ」をやるうえで,今までのユニミュと違うと感じるところはありますか?

アプローチが違うなと感じていますね。
今までは、直接的に多くの人に届けようとしていたので、「広さ」を意識していました。
でも今回は、ミュージカルに興味を持っていなかった人にも、想いのバトンを繋いでいきたい。

その想いの「強さ」を求めにいっています。
かける想いが強くなった分、ここでのつながりは広く、長く、続くと思うんです。

「イン・ザ・ハイツ」の広報コピーでもある「そして、誰かの火種を灯す」という言葉のように、このミュージカルを通じて広がった輪が、誰かを助けたり、誰かの人生を豊かにするものになったらいいなと思っています。

ミュージカルが、
人生を変えた​

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---人生を豊かにするもの、というのはミュージカルや音楽の本質ですよね。

ヒロさん自身、ミュージカルによって助けられたような経験はありますか?

助けられたというよりも、人生を変えられたと言ってもいいくらいです。

僕はずっと、いわゆる競争社会にいました。
小中高はサッカー部。大学はラクロス部。

通っていた進学校や他の課外活動でも、目標を達成するために自分の能力を磨く競争社会で生きていた僕にとって、ミュージカルの世界は衝撃的で。

一人ひとりの個性が生きる、そしてそれを最大限活かすことで、最高にいいものが作れる。
「個性」というものはそれぞれ違って美しいということが、よく聞くくさい言葉でもあり頭では分かっていたんですが、本当の意味で分かったような気がしました。

ミュージカルを通じて丸くなったと言われますね(笑)
相手を受け入れよう、そしてその人のよさをもっと活かそうと思うようになり、少しずつ考え方や大切にするものが変わったからだと思います。
ミュージカルに目を覚ましてもらったなと。

 

---ミュージカルでヒロさんが作られているといっても過言ではないですね!そんなヒロさんが今このタイミングで「イン・ザ・ハイツ」をやりたいと思うのはなぜですか?

きっかけは、自分自身の「迷い」かもしれないです。

僕自身、迷っています(笑)
今修士2年で、これまで自分の満足のいくような決断をしてきたけど、やっぱりどこかで迷いはありました。
これからどんな道に進みたいか、わからなくなる時もあるんですよね。

「イン・ザ・ハイツ」という作品は19歳の人が書いた作品で、悩みを抱えながら、迷いながら、ひとつひとつ人生の決断をしていく物語。
20代前後の決断って、かなりパワーを持っていて、その後の人生の指針にもなりうる。
リアルタイムでその年齢の僕らだからこそ等身大のものを作れるし、作る意義があると感じています。自分の人生と重ね合わせられるような作品を作りたいですね。


---なるほど...!ひろさんがミュージカルを作るうえで、一番大切にしたことは?


物語を作るだけで終わりたくない。人生の文脈の中で、意味のある作品にしたい。
ということですね。
そう思い始めた原点は、就活時に以前ミュージカルをやってた仲間と久しぶりに飲んだ時に出会った感情にあると、今振り返って思います。

その人はすでに社会人になって働いている人だったのですが、話しながら、一緒に作った物語がもうすでに過去のものになっていることをひしひし感じました。
社会人になることは、良くも悪くも大きく人を変えるんだな。そこで失われていくものがあるって悔しいな。と、強く感じたんです。

それは、一回で終わるものではなく、その人の人生の中で、もっと意味のあるミュージカルをまたやりたい!という気持ちに変わりました。
火種は、ひとつだと社会の風圧に消えてしまいそうになるけど、集まると燃え盛る炎になる。これは簡単には消えないと思っています。
数ヶ月以上かけて1日で終わる刹那的なものだからこそ、覚悟を持って入ってきてくれている。

その人の人生の文脈が交わるその瞬間に、物語が生きる。

そういう舞台を作れたら、関わってくれた人が、10−20年後に別の場所で生きていても、同じ想いを持って日本動かしていると思うし、その強い想いが舞台に乗れば、お客さんに届くと思う。
​その火種を、1200人に伝播したいです。
 

組織の羅針盤である、
統括 としてが、
人生を変えた​

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---統括として、自分が抱えているものに対する目標やそれに対するプレッシャーはありますか?

そうですね、関わってくれているメンバー60人の時間を頂いている、という責任を感じながらも、今は不安はなく楽しみだけがあります。
集まってくれた人が本当に心強くて、任せることができると感じているからです。
個人的な目標としては、以前MPでプロデューサーをやった時に感じた反省点がありまして。
それが、「仲間に任せらきれなかった」ということなんです。
自分でついつい抱えてしまっていたので、今回は自分の仕事をみんなに広げようと思います。

​また、ユニミュという団体がどういう方向に向かっていくか、その方向に違和感がないか、大局的に2/16のその先を考えるのが僕の仕事だとも思っているので、2/16がゴールではなく、その先を考えながら、楽しく動いていきたいと思っています!


---羅針盤のような存在ですね

まさに、組織の中でそうでありたいと思っています(笑)

お互いが等身大でつながれるからこそ、できる冒険と言いますか。
このミュージカルは決して一人ではできないし、まして自分はもともと先頭に立つタイプでもないんです。
​だから、みんなにはやりたいことをやってほしいし、僕自身もここでやりたいことにチャレンジしたいですね

 

---そんなイン・ザ・ハイツのメンバーにとって,この企画をどんなものにしたいですか?

参加した人にとって、このミュージカルの経験が自分の人生を考えるきっかけになったらいいなと思っています。
新しい決断を踏み出す一歩に繋がったら、本当に嬉しいです。

「イン・ザ・ハイツ」のお話の中では、”とどまる”というのもひとつの決断。
決して前に進むことだけが決断ではないんだと考えさせられました。
そこに決断があるかないか、というのが大切なんだなと。

そういうことろに関連して、それぞれの人生でひとつの新しい決断ができる「きっかけ」になればいいなと思います。


---ありがとうございました!

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